心意気インタビューとは、地域の「ヒト・モノ・コト」の心意気を発見していくコンテンツ。
今回の取材先は合同会社 Circular Thanks(サーキュラーサンクス) 創業メンバーの戸叶大地(とかのだいち)さん 川部空輝(かわべひろき)さん 佐藤 大(さとうだい)さん
合同会社Circular Thanks様は、社員全員が20代で構成されている若さと活気溢れるベンチャー企業です。
若者ならではの発想と発信力で、「Circular Thanks様」×「農家」×「地域」が一体となり、山形県の魅力を発信する食品ブランド、「Sanbika-山美果-」を立ち上げました。山形県の特産物を活かした商品を通じて日常に新たな食体験と発見を届け、食の可能性を広げ、地域に革命を起こす。そんな熱い想いを持つ3人にインタビューしてきました。
この記事で読めること
合同会社Circular Thanks (サーキュラーサンクス)様/ 食品ブランドSanbika-山美果-へのインタビュー
起業しようと思ったきっかけを教えてください
川部さん
起業のきっかけは、私の場合、高校時代からフットサルをしていたことから始まり、大学でサッカースクールを始めたことがきっかけです。自分の好きなことを仕事にした形ですね。
佐藤さん
僕の場合は、コロナ禍に突入したことがきっかけです。実家から通っていましたが、お金が必要になり、バイトもできない状況で、生活費をどこから捻出するかを考えた結果、自分で起業することに決めました。コロナ禍がなければ、この決断はなかったかもしれません。
戸叶さん
起業のきっかけは何だろう?一言で言えば、とある社長さんとの出会いがきっかけでした。
起業するタイミング、個人でやり始めたのはちょうど3年ぐらい前からです。大学受験を失敗してしまい、スキーの全国大会に出場しているサークルに魅力を感じ、山形大学(以下 山大)を選びました。1年生の冬からコロナ禍になってしまい、自分が得意としている勉強もスポーツもできない状況で、米沢にいてもやることがなく、ずっと引きこもり生活をしてる時に、ゲームを通じて知り合った社長さんから「起業してみたら?」と言われたのが、一番のきっかけだったと思います。

きっかけをくれた社長さんとは、どのような方ですか?
戸叶さん
福岡で会社を経営されている方で、実は一回も会ったことがないです。年に一度、DMが来るぐらいです。それでも、一番のきっかけを与えてくれた方です。キャリア選択肢の一つとして「起業する」ということを社長さんに言われた時、初めて何か自分でも「やれるんじゃないか」という気持ちにさせてくれたことは、その選択肢を提示してくれた社長さんのおかげです。入学当初は山大に来たことは失敗だったと思うほどでした。でも今振り返ってみると、山大で良かったと思っています。
どのような繋がりでサーキュラーサンクスを立ち上げることになりましたか?
佐藤さん
繋がりとしては、僕と戸叶は地元が一緒で小中学校の同級生です。僕と川部は、高校時代には同じ部活に所属していました。この繋がりがあり、大学はバラバラだったのですが、二人ともすでに個人事業を立ち上げてビジネスをしていることを知り、私から戸叶に「何してるの?」とSNSでメッセージを送りました。そこからオンラインでやり取りを重ねるうちに、最初はコミュニティ作りからスタートし、大学卒業後には一緒にシェアハウスを借りてビジネスを始めようと話すようになりました。
戸叶さん
僕は物販ビジネスは「人と交流をもたなくても完結できるもの」と考えていました。ビジネスは一人でやるものだと思っていたんです。しかし、「ビジネスは人と会ってなんぼ!」という考えに変わりました。その後、僕がSNSで情報発信を始めてから5、6年ぶりに佐藤から連絡がきて、少しうさん臭い感じで「マーケティングを学びたい」という内容でした。当時、僕と川部は全く繋がりがなく、佐藤の紹介で3人でZOOMをするようになりました。その後ノリと勢いで「起業してみようぜ!」という話になり、今に至ります。情報発信を行って良かったと思っています。
職場が「シェアハウス」とお聞きしたのですが、本当ですか?
戸叶さん
実はこの米沢でなければ、新庄だったかもしれません。元々米沢に会社を作るつもりはありませんでした。以前は新庄に会社を作ろうという話をしていましたので、新庄の事務所登記できる場所が決まっていたんですよね。ある投資家さんが自分たちの会社に対して出資をしてくれて、新庄でやろうということを条件に出資してくれる話があったのですが、直前で断わりました。1ヶ月2ヶ月ぐらいで事務所を探さなければいけない状況になり、自分たちで山形の不動産屋などに「シェアハウスで事務所の登記ができるところ」はないですか?と探している途中に、佐藤が米沢の物件を見つけ、とても気に入り「もうここしかない」という状況で決断に至りました。
なぜ、応援してくれる方の出資を断る決断をしたのですか?
戸叶さん
起業を始める際、条件が整っていれば普通は「やろう!」となるのですが、出資を受けるということは、決裁権の一部を自分たち以外の人が持つことになると思いました。特に株式会社の場合、株の保有率によって発言力が決まるため、どうしても出資者の意向に沿った経営になると思いました。
そこで、「本当に自分たちがやりたいことなのか?」と改めて考えました。
私たちは、誰かの下で働くのではなく、自分たちのやりたいことを自分たちの力で実現するために会社を立ち上げようと決めたので、思い切って出資を断ることにしました。資金がない中での起業だったため、最終的にクラウドファンディングに挑戦することにしました。
最初に立ち上げた事業「Sanbika-山美果-ブランド」について聞かせてください
佐藤さん
キーワードとして、「Circular Thanks」×「農家」×「地域」が一体となって繋がりを持たせたいと考えています。まだやったことはありませんが、地域の方に農業に興味を持っていただくためには、イベントや商品を通して生産してる方と地域の方を繋ぐところからだと考えています。
私たちが、農家さんから規格外や廃棄になってしまう果物などを適正価格より高く買い取らせてもらい、フードロスや農家さんの収入の支援に繋げます。自分たちと購入してくださるお客様との関係性を高め、それぞれの場所を循環し、お互いが関係を持てるように活動を行っています。

どのような方々と取引をされていますか?
佐藤さん
私たちは、農家さんとやり取りをさせてもらっています。果物を扱う商品については、すべて農家さんから直接購入しています。
他には、販売会などでお会いした農家さんと話をさせてもらったり、ネットで気になった農家さんを見つけた場合でも、いきなり電話をするのではなく、実際に購入をしに伺うようにしています。
ありがたいことに、SNSを始めてから私たちのことを知ってくださる方が増えて、協力してくれる農家さんも多くなりました。「うちの果物を使ってみませんか?」と農家さんの方から声をかけてくださることもあります。農家さんにとって、規格外の果物でも適正な価格で買い取ってもらえるのは、メリットがあると感じてもらえているようです。

ブランド製品である「フルーツハニー」を製造する際、特殊な知識や技術、設備は必要でしたか?
佐藤さん
私たちはもともと食品に関する専門知識を持っていたわけではありません。経済学部や工学部の出身だったので、食品に関する知識はまったくのゼロからのスタートでした。そのため、保健所に足を運び、製造に関する法律や許可の取得について学びながら、少しずつ形にしていきました。
設備に関して、特別な機械や技術は必要ではありません。立ち上げの時、テレビ局の取材を受けた際、製造所らしくない雰囲気だったからなのか、あまり映さないようにされたほどでした。シンプルすぎる設備ではありますが、工夫して製造を進めています。

味の特徴に蜂蜜を取り入れているとのことですが、山形県内の飲食店にいろいろと教えてもらったそうですね。蜂蜜を使ったメニューを探すのは、思ったよりも大変だったのでしょうか?
戸叶さん
新庄や米沢市内の飲食店、パティシエや専門家にも協力してもらい、最初のフルーツハニーは手伝っていただきました。その後の商品は自分たちで味を確認し商品化しています。これからは試食会などを通じてお客様に反応を見てもらい、フィードバックを得る機会を増やしていきたいと思います。
この地域で、自分たちとお客様が一体となりブランドにしていこうと考えています。「ファンベースのブランド」と呼んでいますが、2ヶ月に一回オフラインイベントを開催し、アドバイスをもとに味や金額などパッケージの調整を行っていきたいと思います。
商品に蜂蜜を使いたいと思った理由とは?
戸叶さん
蜂蜜と果物を組み合わせた商品は、世の中にあまり例がないと思います。そこで、クリエイティブ性を強調し、他の製品との差別化を目指しました。果物の加工食品が農家の6次産業化によって増えている中で、パッケージやブランディングだけでなく、商品の内容自体で差別化を図りたいと考えました。そして、蜂蜜と果物を組み合わせるアイデアが生まれました。
基本的に30~40代の女性をメインターゲットとして考えています。自分たちでブランド化し、「無添加ブランド」という点を最も大切にしているため、健康を気遣う女性層がターゲットになっています。また、最近ではインバウンドにも力を入れていきたいと考えています。

蜂蜜については、山形市の養蜂場と交渉を重ねた結果、最終的には百花園(ひゃっかえん)養蜂さんと取引を結ぶことができました。
大変だったと思う瞬間はありましたか?
戸叶さん
食品の知識がないという面ではとても苦労しました。食品業界は0から1を作るのが難しいという事を知っていました。大手が安くて美味しい商品を提供している中で、わざわざスーパーに並んだ時に手に取る理由がないのです。自分たちが参入してみて、難しさを感じています。
蜂蜜と果物の組み合わせには賞味期限や扱いの難しさなどの課題があります。お客様に「山美果だから買いたい」と思ってもらえる理由を作ることが一番の大変なことだと思います。しかし、そこに面白さを感じています。
支えになっているもの、モチベーションを維持するものはありますか?
戸叶さん
仕事に対してモチベーションを持ち込むのが良くないと感じることもありますが、たくさんの協力者に支えられているため、簡単に辞めるという事ことができません。米沢市や創業塾でお世話になった方々、そしてクラウドファンディングの支援を受けたことなど、さまざまな方々に助けられていると実感しています。地方での起業は珍しいため、挑戦する環境を作るためにも続けるべきだと強く感じています。また、SNSやブランドの認知度が上がっている中で、行政の支援も受けている私たちが失敗すると、後輩たちが「山美果さんでも無理だったから、ビジネスは難しいかもしれない」と思われるのは避けたいです。そのためにも、もうやるしかないという覚悟が、モチベーションとなっています。
佐藤さん
以前、販売会で商品を販売した際に、SNSを通じてわざわざ足を運んで購入してくださったお客様がいました。その方々が私たちの活動を見て、起業を志すようになったり、もっと若い世代に良い影響を与えられていると実感しています。さらに、多くの企業に支えられて活動が成り立っているので、その恩返しをしたいという気持ちが強いです。
川部さん
私はもともとサッカースクールで子ども達に指導するよう親から言われていましたが、それを選ばず起業することを選択しました。そのため、必ず成功した姿を見せたいという強い思いがあります。将来は自分の会社を立ち上げ、ビジネスを展開していきたいと考えています。食の領域で経験を積み、成功したいという気持ちが強いです。失敗はしたくないですし、やり続ける覚悟でいます。
組織全体で仕事を行う上で大切にしてることはありますか?
戸叶さん
意思決定は基本的に3人の合意のもとで行うと決めています。現状でインターン生がいるため、組織が業務委託で合計で9人です。組織のマネジメントの方法は、今後もインターン生が増えて、組織として10人20人になった時、同じ方向に向かっていいけるように学習を行っています。アウトプットも行っていますが、私たち3人に関してはあまり意識的に行っていないかなと思います。普段一緒に暮らしているので、話をする機会はあります。何処か別々に住んでいたりするとまた違うのかもしれません。一対一の時間を作る事は必要になるかもしれません。コミュニケーションを大切にして、常にいろんな話をし、仕事でも仕事ではなくてもお互いの考えを尊重しています。

やりがいや達成感を感じるのはどんな時ですか?
戸叶さん
山美果の商品を提供している中で、私たちが起業のロールモデルとなり「山美果さんを知り、起業しました。」という方や「勇気を出し新しいことをやってみました。」という話を聞いたり、お客様から感謝の言葉や手紙をいただけた時「起業して良かったな」と思います。このブランドを立ち上げたおかげで、今のインターン生やお客様と出会えました。自己満足ですが、世の中にないものを作りだすことで感謝されること。このキャリア選択肢として起業というものにはまってしまい、そこからの人生は毎日が楽しいです。人生が変わっていくところに立ち会えていることを実感し、とてもやりがいを感じています。
佐藤さん
「SNSを見ましたよ」と実際に購入しに来ていただけた時が嬉しいです。うちで働きたいと「いいね」をくれる方もいます。インターン生たちは興味を持って一緒に活動してくれています。そういった仲間が増え、私たちのコミュニティが大きくなっていくことに喜びを感じているので、さらにその輪が広がっていくのであれば嬉しいです。
川部さん
「サーキュラーサンクス」とは、「ありがとうの循環」という意味です。お客様が商品を購入してくれると、私たちが「ありがとうございます」と感謝の気持ちを伝えますが、実際にお客様から「ありがとう」と言っていただけた時が、私にとって達成感を感じ、嬉しい瞬間です。お客様に良いサービスを提供できたり、心地よい環境を作り出せた時が、私にとっての喜びで、それが達成感につながっていると感じています。
5年後、10年後はどういう姿になっていたいと思いますか?
戸叶さん
現在は、将来について特に何も考えていません。ただ、将来的には「すごい人」になっているだろうと思いたい気持ちはあります。2年先くらいのことはある程度イメージできていますが、それより先のことについては今の自分がどう決めても仕方ないと思っています。
佐藤さん
私としては前に3人で話をしたことがあるのですが、山形を代表する企業になりたいと思っています。県外から来てくれても嬉しいですし、県内にいる方、学校を卒業した方、転職をする方など、その中でうちが一つの候補として上がること、ものすごい倍率が高い状態になったとしたらとても嬉しいです。私個人としては、その企業に見合う役員になれたらいいなと思っています。
川部さん
私は、会社として誰かが帰ってきたいと思える場所を作りたいです。地域の人々が東京に出なくても十分に生活できる環境を提供したいと思っています。お金がない時期を経験していたので、今度は他の人たちにその恩返しをしたいです。個人的にやりたいことで言えば、誰かのやりたいことを叶えたいと思っています。将来的には、サッカースクールや教育の分野で多くの人の夢を叶えられるように規模を広げ、投資家のような立場で支援できるようになりたいです。

合同会社Circular Thanks (サーキュラーサンクス)様/食品ブランド Sanbika-山美果-の心意気とは
「自分たちだからこそできる挑戦」への誇りと使命感
山形だからできること、山形の良さを活かし発信するという責任感。そして自分たちだからこそ成し遂げられることを追求する姿勢から他にはない強い意志を感じました。自分たちの想い、信念を持って取り組まれている思いを知ることができました。本当にやりたいことを追求し、若者ならではの視点、柔軟なアイデアと勢いを武器に挑戦し続けていただきたいです。