作り手の心意気を見える化する心意気デザイン

心意気コラム

公開日:2026.1.5

最終更新日:2026.1.6

《心意気インタビュー》360°よねざわオープンファクトリー実行委員会 近藤哲夫さん

《心意気インタビュー》360°よねざわオープンファクトリー実行委員会 近藤哲夫さん

《心意気インタビュー》360°よねざわオープンファクトリー実行委員会 近藤哲夫さん

心意気インタビューとは、地域の「ヒト・モノ・コト」の心意気を発見していくコンテンツ。

今回の取材先は、360°(さんろくまる)よねざわオープンファクトリー実行委員会 近藤哲夫(こんどうてつお)さん。

360°オープンファクトリーは米沢の工場を見学できるイベントです。普段は立ち入ることのできないものづくりの現場を直接見て回ることができます。なぜ米沢でオープンファクトリーを開催するに至ったのか。イベントへの想いを伺いました。

近藤哲夫さんへのインタビュー

360°(さんろくまる)オープンファクトリーとはどのような取り組みですか?

360°オープンファクトリーは、米沢市内のものづくり企業が普段は公開しない製造現場を開放し、来場者に“ものづくりの本質”を体感してもらうイベントです。織機の響く音や、発酵蔵の香り、職人の手が加わる瞬間など、完成品を見るだけではわからない工程そのものを見てもらうことが大きな目的です。


米沢は織物や発酵など伝統産業が根づいた地域ですが、その価値が地域外はもちろん、地元住民にも十分に伝わりきっていないと感じていました。そこで、「現場をそのまま見てもらう」ことを軸に、産地文化を丸ごと感じてもらう場をつくりました。

開催に至る背景とイベント名「360°」に込めた思いを教えてください

このイベントを始めるきっかけになったのは、市役所からの紹介でプラットヨネザワの宮嶌氏とつながったことでした。全国でオープンファクトリーが注目されていた時期で、山梨県 富士吉田市の「ハタオリフェスティバル」の取り組みを知り、「米沢でも産地を開く文化が根づくはずだ」と確信しました。また、NHK朝ドラ『舞いあがれ!』で町工場が取り上げられ、社会的にも“現場公開”が話題となっていたことも追い風でした。

イベント名の「360°」には、米沢盆地を囲む360度の山々という象徴的な風景と、産地を全方向から見せるという意志が込められています。名称選びでは、多くの案が挙がり、最終候補には「美盆地(びぼんち)」なども残りましたが、発音の課題や外へ伝わりやすい点などが議論されました。最終的には、数字で覚えやすく、海外にも発信しやすい「360°」が選ばれました。議論と多数決を経て決定された、実行委員会全員が納得できる名前です。

イベントでは、工場見学を中心に、スタンプラリーやワークショップなどを組み合わせ、産地全体を巡りながら楽しめる仕組みを用意しています。
企業ごとの特徴が色濃く出る工場見学では、古い織機の動作、染色の工程、発酵の香り、木工の細かな作業など、企業によってまったく違う姿を見ることができます。
スタンプラリーは、参加者が複数の企業を巡れるようにつくられた仕掛けで、既定の軒数を回られた方にオリジナルグッズをプレゼントしております。産地を横断する“冒険感”があり、親子連れにも非常に好評です。

また、手織り体験や簡易加工などのワークショップも開催しており、実際に手を動かすことで、製造の難しさや楽しさに気づく方が多いのも特徴です。

開催にあたって大変だったことはありますか?

最も苦労したのは初年度の準備で、どの企業をどう巡らせ、どこまで見せるかという“イベントの型づくり”に時間がかかりました。前例がほとんどなかったため、プラットヨネザワの宮嶌氏とは毎日のように意見を交わし、一つひとつ形にしていきました。
二年目からは実行委員会を正式に設置し、役割を明確に分担したことで運営の安定につながりました。

その過程で、予想以上の“嬉しい変化”もありました。来場者が真剣に質問をしてくれる姿は、企業にとって大きな励みとなりましたし、企業同士がお互いの現場を見ることで、自社を見直したり改善点を発見したりする動きも生まれました。さらに、見学がきっかけで入社した若者が現れたことは、開催の意義を強く実感する出来事でした。

来た方にどんな事を感じてほしいですか?

来場者には米沢のものづくりの奥深さを感じてもらいたいです。古い機械を丁寧に扱いながら生産を続ける現場も多く、そこには職人の経験や技術、判断力が詰まっています。機械の音、作業の緊張感、素材に触れたときの質感。五感で感じる体験こそが、このイベントの価値です。

地域に対しては、産地そのものが“誇れる存在”になることを目指しています。来場者が飲食店や宿泊施設、交通機関を利用することで経済効果も生まれますし、地元住民が「こんなすごい仕事が身近にあったのか」と気づくきっかけにもなります。産地への誇りが高まることは、企業の活力にもつながります。

 回を重ねて感じた手応えはありますか?

第3回を迎え、イベントは確実に地域へ浸透しつつあると感じています。来場者数は増え、スタンプラリーやイベントバスなどの新しい取り組みも定着しました。若い世代や学生の参加が目立ち、学校との連携が深まっていることも大きな変化です。また、印刷・アパレル・酒造など産地外の業界からの視察も増え、米沢が“学ぶための産地”として注目されていることを実感します。

企業内部にも変化があり、社員が説明役を務めることで自信がつき、工場の整理整頓や見せ方の改善が進みました。企業同士の交流も活発になり、情報交換や協力の機会が増えています。

今後の活動で考えていることはありますか?

今後は、参加企業をさらに増やし、30〜50社規模のイベントへと成長させたいと考えています。また、体験や販売イベントを強化し、宿泊や食を組み合わせた“産地ツアー型”の企画にも挑戦していきたいところです。最終的には、360°が米沢を代表する恒例イベントとして、地域の誇りになる未来を目指しています。

360°よねざわオープンファクトリー実行委員会の心意気とは

米沢のものづくりを見てけろ!

大切にしているのは、「米沢のものづくりを未来へ届ける」という想いです。現場を開くことで産地の価値が“見える形”になり、その価値が次世代へつながっていく。そうした循環を生み出すことが360°の使命だと語る近藤さん。

参加した人が産地の価値を体感し、伝える人に。360°オープンファクトリーを機に米沢の産地文化としての魅力が沢山の人に伝わっていくと感じました。見て聞いて、現地で得るもの全てが知見や自信、またはご縁となって、間接的にも周囲へ良い影響を与えていく。今後の360°オープンファクトリーの更なる発展が楽しみです。

このコラムを書いた人
岡部

この度縁あって入社しました新人の岡部です。入社前までは、仙台の専門学校でグラフィックデザインを学んでいました。入社後は、より専門的なデザインのことや印刷のことを学ぶことが出来て楽しいです。学び得た一つ一つの感覚を皆さんのデザインに活かせるよう勉強していきます。働く中で米沢の更なる魅力を探り、会社で掲げているビジョン「心意気あふれた魅力的なまちづくり」に貢献したいと考えております。よろしくお願いします。

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